君だけの星へ
小さなまるいサイドテーブルにマグカップを置いて、DVDプレイヤーの再生ボタンを押した。

今日の学校帰りに、レンタルショップで借りてきたもの。

タイトルは、『Dear my Stargazer』。



「“ほら見てみなよ! あれが、南十字星で……”」

「“いつもアルバートは、星のことばっかりね”」


「“ベラは、いつも空を見上げている僕が気にくわないらしいから”」

「“私だって、あなただけを見てるのに……!”」


「“1番大切なものに、やっと気づいたんだ”」

「“だってアルバートは、星を愛してるんでしょ?”」


「“君は僕だけの、輝ける星だよ”」



「……ふっ、ぅ、く……っ」



本編が終わり、エンドロールが流れ始めてから、わたしは涙が止まらなかった。

……大好きな、ハッピーエンドの物語。

なのに胸が苦しくて、張り裂けそうに痛い。
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