君だけの星へ
「ちょっと、高柳」

「あ、『タカヤナギ』って長くて言いにくいし、『星佳』でいいよ」

「……星佳、あのさ」

「うわー、桐生くん順応早いね」

「………」



だめだ俺。この女苦手だ。

そう頭の中で完結し、すぐ横にいる彼女を無視して机に伏せた。

なのに懲りずに、星佳は話しかけてくる。



「ねー、桐生くーん?」

「………」

「私もね、『星の王子様』好きだよ。っていうかね、星が好きなんだー」

「………」

「ほら私の名前、『星佳』でしょ? だからちっちゃいときから、星にばっかり興味持ってたの」



そこまで彼女が言ったところで、俺はパッと顔をあげた。

やはりすぐそばには、小首をかしげる星佳の姿があって。



「……俺も、星が好きだけど」



不機嫌ながらも俺がそう言うと、彼女はにっこりと、至極楽しげな笑みを浮かべた。



「これからよろしくね? 桐生くん」
< 132 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop