君だけの星へ
──それからはもう、あっというまの日々だった。



「桐生くん! この学校にも、何年か前まで天文部あったんだって! 私たちで復活させようよ!」



そう言った彼女は、部員数や顧問の問題も解決して、見事に天文部─―正確には同好会――を復活させた。

ほとんどは星佳の働きのおかげだったが、なぜか俺も当たり前に入部させられ、しかも副部長に任命された。


そしていつからか、彼女は俺を『智』と呼ぶようになり。

俺の中には、確実に彼女に対する想いが芽生えていった。



「すごいね、綺麗だねー」

「……星佳、」

「うん?」



文化祭の日、部活の展示で作った小さなプラネタリウムの中で、告白するより先にキスをした。

星佳は真っ赤になった顔で「ばか」と呟いて、それでも照れくさそうに、笑った。
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