君だけの星へ
「なに?」

「……これ、あやめ堂に落ちてました」



言いながら、わたしはそれを差し出した。

怪訝な顔で受け取った彼は、自分の手の中にあるものに気づいて瞠目する。



「──これ、」

「桐生さんのもの、ですよね?」



わたしがたった今彼に渡したそれは、先日おじいちゃんから預かった、あの写真。

桐生さんは驚いた様子で、わたしの顔と写真を交互に見た。



「前に、言ってましたよね? 『あの本に何か挟まってなかったか』って」

「………」

「それって、その写真のこと、ですよね?」

「……ああ」



わたしの言葉に対し、彼は小さく笑って、うなずいた。

その表情に、胸がつまる。

わたしは唇を噛んで、深々と頭をさげた。



「? もちづ──、」

「……ごめんなさい。きっと、わたしがあの本を落としたせいで、中から飛んでしまったんだと思います」

「………」

「本当に、ごめんなさい」
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