君だけの星へ
謝っても謝りきれないことだということは、自分でもわかってる。

だけどせめて、謝罪を言葉にしたかった。


するとそっと、肩に手を置かれる。



「望月、顔あげろよ。別に俺、おまえに対して怒ったりしてない」

「………」

「ただ、なくしたと思ってたものが戻ってきて、ラッキーくらいにしか感じてないから。だからそんな顔、すんな」



ポン、ポンと、軽く肩をたたかれる。

見上げた桐生さんは、困ったような顔で笑っていて。


どうして? 桐生さん。

どうして、そんなやさしい嘘が言えるの?

わたしは、桐生さんの、大切なものを──……。



「……違う、」

「は?」



首を横に振って、わたしは彼のやさしさを跳ね返した。

様子が変わったわたしを、桐生さんが困惑して見下ろす。



「望月?」

「違う、これだけじゃなくて……っわたしは、あの本も……っ」

「だから、それも、もう済んだことで……」

「だめ、だってあれは、星佳さんの……!」
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