君だけの星へ
Star.6

見つからない、言葉



『ひとつのドアが閉まった時には、また別のドアが開くもの。』


        ミゲル・デ・セルバンテス



   ◇ ◇ ◇



「おお、まるで獲物を前にした肉食獣の目付きだな」

「………」



わざわざ家を訪ねてきた俺を見るなり、京一は開口1番そう呟いた。

どうやら俺は、そうとう物騒な顔をしていたらしい。



「おまえにはこんな顔される心当たりがあるだろうから、あえて改めない」

「はは。やっぱり言っちゃったんだ、世莉ちゃん」



笑いながらそう言った京一は、自分のベッドに腰かけて足を組んだ。

俺も遠慮なく、ローテーブルの前に腰をおろす。

そしてそのまま、京一をにらみつけた。



「言っちゃったんだ、じゃねぇよ。……なんで教えた。よりによって望月に」

「その『よりによって』っていうのは、世莉ちゃんが智をすきになってたからってこと?」

「………」

「ニブいねー智。……“すきだから”、教えたのに」



皮肉っぽくそう言って、京一はその顔から笑みを消した。
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