君だけの星へ
「……俺。あのとき一目見て、世莉ちゃんにおまえの過去を教えようって決めたよ」

「………」

「──似てたから。あの子の雰囲気が、少しだけ、星佳に似てたから」



そうだろ? とまっすぐにこちらを見すえる京一に、俺は何も言葉を返すことができない。

頭の中いっぱいに広がるのは、望月に対する罪悪感。


……そうだよ。俺だって最初は、そう思ったんだ。

あの古本屋のカウンターで、本を読むあいつを初めて見たとき。

その伏し目がちの表情が、どこか星佳と重なって見えて。

気がつけば俺は店のドアの前に立ちつくし、彼女の横顔に見とれていた。



『……ごめん、なさい……』

『ただ、言いたくなっただけです』

『ナンデモアリマセン!!』

『桐生さん、いかないで……っ』



──でも、違った。

あいつはやっぱり、17歳の『望月 世莉』という人間でしかなくて。

家庭教師として、彼女と接していくうちに……自分の考えは最低で歪んだものだと、強く思い知らされた。
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