君だけの星へ
「……嫌になったんです。もう、耐えられないから」

「………」

「せっかく根気よく教えてもらったのに、結局、数学は好きになれなかったし。それに桐生さんの言った通り、90点以上も取れなかった」

「………」

「わたしは結局、ダメダメな生徒だから」



嘘の理由を並べるわたしを、桐生さんは少し驚いたような顔で見下ろしている。

それからなぜかふっと、表情を緩ませて小さく息をついた。



「なんだ、そんな理由か」

「──、」

「それなら、心配いらない。望月はちゃんと、確実に成長してるよ」

「………」

「俺が保証する。だからそんな馬鹿なこと言ってふてくされてないで、早く立ってこっちに来い」



笑みを浮かべてそう言った彼は、やさしくわたしの腕を掴んだ。

……もう、わたしは、限界で。
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