君だけの星へ
──どうして、そんなふうに言ってくれるんですか。

どうして、わたしに笑ってくれるんですか。

どうして、やさしく触れてくれるんですか。


見上げた瞳に、涙がにじむ。



「……め、て」

「、もちづ……」

「やめて、ください……っ!」



ねぇ桐生さん、わたし苦しいです。

わたしじゃない他の人を想う桐生さんを想って、苦しいです。

でもね、その苦しさには、耐えられる。

あなたのことを考えて切なく痛む胸には、耐えられるの。



「……すきに、なれないなら……っ、やさしく、しないで……っ」



──耐えられないのは、あなたを想った分だけ自分も想われたいと願ってしまう、自分の浅ましさ。

わたしには、無償の愛なんて与えられない。すきな人には、自分もすきになってほしい。

そんな自分が嫌で嫌で、耐えられなくなってしまったんです。
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