君だけの星へ
「……すきです、桐生さん」



呟いた瞬間、まるで聞きたくないとでもいうように、唇を塞がれた。

わたしはぎゅっと目を閉じて、荒々しい口づけを受ける。

長くて深いキスの後、ようやく離れた唇は、今度は首筋をたどった。



「き、りゅ、さ……」

「………」

「……すき、で……」

「──黙れ」



途切れ途切れのわたしの声を、彼のひとことが一蹴する。

やけにギラついたその目は、言葉を飲み込ませるのに十分で。



「……聞きたくない」



そして彼は、わたしの服に手をかける。



「……ん、っふ……」

「………」

「う……っ」



桐生さんに触れられてる間中、わたしは涙が止まらなかった。

それは、一時でも彼とこうしていられるのがうれしくて泣いているのか。

それとも、悲しくて泣いているのか。

わたしには、わからなかったけれど。



「……すきだ」



都合のいい、そんな言葉が聞こえたような気がしたから。

もやがかかったような意識の中、わたしは小さく笑って、彼の背中に手をまわした。
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