君だけの星へ
そこでふと、あることに気づいた。



「……おじいちゃん、どこかに出かけるの?」



横に立つおじいちゃんを見ながら、わたしは首をかしげる。

開店中、いつも身につけている深い緑色のエプロンを、おじいちゃんがつけていなかったからだ。



「──ああ。ちょっとね、人と約束があって」

「へぇ。お友達?」

「いや、うちの大事なお客様だよ」



言いながら、わたしの横をすり抜けるおじいちゃん。

そしてまた、にこりと笑った。



「それじゃあ、そういうわけだから。その大事なお客様のお相手、よろしくね。世莉ちゃん」

「……へっ?!」



おじいちゃんの言葉に、思わずすっとんきょうな声をあげる。
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