君だけの星へ
「……まずは、ごめん。あれきり、何の連絡もしないで」



そう言った桐生さんに、わたしは声を出さないままぶんぶんと顔を横に振った。

だってつながりを切ったのは、わたしの方だ。

桐生さんが謝ることなんて、どこにもない。

そうやって否定するわたしを見て、彼はまた一瞬、つらそうに顔を歪めた。

そして再度、口を開く。



「俺な、家庭教師の仕事辞めたんだ。それで、新しい就職先も決めた」

「え……」

「俺が通ってた、大学。世話になった先生が口をきいてくれて、そこで先生の研究を手伝えることになったんだ」

「研究、って、星の……?」

「ああ」



そこで彼は、ようやくうれしそうな笑みを見せた。



「……4年前のあの日から、俺は趣味以上で、星に関わろうと思えなくなっていたけど……」

「………」

「でもおまえのおかげで、また前みたいに、もっと星に関わって生きていこうと思えた。……ありがとう」
< 165 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop