君だけの星へ
「ひっ、く、きりゅう、さん……っ」

「うん」

「桐生さん、桐生さん……っ」

「……うん」



壊れたみたいに彼の名前を呼び続けるわたしに、それでも桐生さんはいちいち返事をして、宥めるように頭を撫でてくれた。

ぎゅっと、抱きしめられた腕に力がこもる。



「ごめんな、望月。俺おまえに、ひどいことした」

「ッん、ううん……っ」

「ごめん、何回謝っても足りない。自分が弱かったせいで、あんな最低なことして、おまえを痛めつけた」



それが1度きりの、身体を重ねた日をさしているんだと知ったわたしは、必死に首を振って否定する。

それでも彼は、苦しげに眉を寄せてわたしの首筋に顔をうずめた。



「……本当は、こわかったんだ」

「え……?」

「おまえと過ごしている時間の中で、そのあたたかい空間に、居心地の良さを感じるたび……おまえを、星佳の代わりみたいに思っているんじゃないかって。……自分が信じられなくて、こわかった」
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