君だけの星へ
──ああ、しあわせだなあ。

このしあわせを、わかってくれている?

智さんも、わたしの10分の1でも、しあわせだと感じてくれている?


そう訊ねれば、彼はふっと目元をやさしく緩ませて、こう言った。



「ナメんな、おまえの10倍だっての」



たとえば、朝起きたら君がとなりにいたとき。

たとえば、寝る前に君が『おやすみ』と言ってくれたとき。

そんなことが、たまらなくうれしい。

そんなことが、たまらなくしあわせ。



「俺な、今、野望があるんだ」

「うん?」

「今の仕事続けて、子どももそれなりに立派に育てて……適当に年取って、それで最終的に、プラネタリウムの館長とかやりたい」

「ふふふ。素敵だね」



君とならささいなことでも、泣きたくなるほどのしあわせになる。

わたしはあなたと、しあわせを積み重ねていきたい。

そんなふうに、あなたと生きていきたい。



「そのときも、俺はやっぱりとなりには、おまえにいて欲しいと思ってるんだけど」

「………」

「どうですか? お嬢さん」



──そんなふうに、わたしはずっと。



「……いいに、決まってるじゃないですか」



あなたのためだけに輝く、星でありたい。










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