君だけの星へ
「これ、全部おまえの本?」

「え、あ、ハイ」

「ふぅん……」



彼が指さしていたのは、ベッドの横に置かれている大きめの本棚だ。

そこには決して少なくはない数の本たちが、ぬいぐるみなどと一緒に並べてある。

棚の前に立つ桐生さんは、興味深げにそれらを眺めていた。



「完ッ全に文系だもんな、おまえ」

「……悪かったですね。文系しか能がない奴で」

「いや、趣味は悪くないと思うよ」



思いがけない言葉が聞こえて、わたしは目をまるくする。

桐生さんは本棚の中から1冊を手に取ると、パラパラと眺め始めた。



「これとか、俺も読んだことある。最後まで結末わからんかった」

「………」

「まっさか主人公が犯人とはなぁ」



伏し目がちに本のページをめくる桐生さんの横顔は、すごく知的で綺麗だ。

まるでそれがひとつの絵みたいに、惹かれて目が離せなくなってしまう。



「あとベッドシーン濃厚だよな。こんなプレイ俺だって経験ねぇわ」

「………」



言っていることは相変わらずえげつないけども。
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