君だけの星へ
「僕はまずタオルを渡そうとしたんだけど、『必要ない』と断られてしまってね。……なんだかずいぶん憔悴していた様子だったから、心配したんだよ」
「……元気がなかったの?」
「そうだね。言葉数も少なかったし、顔は始終うつむきがちだった」
わたしは驚いて、思わずカップをじっと両手で包み込んだまま、黙っておじいちゃんの話に耳を傾けていた。
本当に、いつも自信に満ちあふれていて堂々とした態度でいる、今の桐生さんを知っているわたしには信じられない話だ。
「本を預かってから、だいたい1週間くらいで取りに来てもらえるよう伝えたんだけど……それから1ヶ月以上が経ってから、彼はようやく姿を見せた。最初に来たときよりも、幾分しっかりした表情でね」
他人事ながら、その変化にどこか安心したよ。
そう話を終わらせて、おじいちゃんはやさしく笑った。
またわたしが、口を開こうとしたとき──。
「わ、」
「ん? 電話かい?」
ポケットに入れていたわたしのケータイがメロディを流し、着信を知らせた。
そうみたい、と返しながら、取り出して開けてみると。
「……げ」
ケータイのディスプレイには、【桐生さん】の文字。
おそるおそる、受話ボタンを押して耳にあてた。
「……元気がなかったの?」
「そうだね。言葉数も少なかったし、顔は始終うつむきがちだった」
わたしは驚いて、思わずカップをじっと両手で包み込んだまま、黙っておじいちゃんの話に耳を傾けていた。
本当に、いつも自信に満ちあふれていて堂々とした態度でいる、今の桐生さんを知っているわたしには信じられない話だ。
「本を預かってから、だいたい1週間くらいで取りに来てもらえるよう伝えたんだけど……それから1ヶ月以上が経ってから、彼はようやく姿を見せた。最初に来たときよりも、幾分しっかりした表情でね」
他人事ながら、その変化にどこか安心したよ。
そう話を終わらせて、おじいちゃんはやさしく笑った。
またわたしが、口を開こうとしたとき──。
「わ、」
「ん? 電話かい?」
ポケットに入れていたわたしのケータイがメロディを流し、着信を知らせた。
そうみたい、と返しながら、取り出して開けてみると。
「……げ」
ケータイのディスプレイには、【桐生さん】の文字。
おそるおそる、受話ボタンを押して耳にあてた。