君だけの星へ
「つーかなにそれ、超うらやましいシチュエーションじゃん!! もうやった?」

「どんだけ直球なのアンタは」



まったく、この子には恥じらいってものが足りないんだから!

今度こそため息を吐いて、有紗を横目で見る。



「言っとくけど、有紗が考えてるようなマンガ的展開は一切ないからね。お互いその気なんてないし、わたしは毎回ちゃんと勉強してるの!」

「ふたりきりで一体なんの勉強してんだか」

「え、わたしの話聞いてた?」



だってー、と片手で持ったポッキーを弄んでいた有紗は、それをピシリとわたしにつきつけた。



「年頃の若い男女が、密室でふたりきりだよ? ナニかない方が、めずらしいと思うけどなー」



いかにも不思議そうに言われて、思わずぐっと言葉につまった。

それでもわたしは、ナイナイと首を横に振って否定する。



「あんなサディスティックで人でなしな男の人が彼氏なんて、わたし嫌だよ。そもそもね、向こうだってわたしのことからかって明らかにおもしろがってるもん。っていうかむしろ蔑まれてるというか虐げられてるというか」

「えっ、世莉アンタそんなハードなプレイしてんの?」

「女子高生が昼間っからそんな単語口にしちゃいけません」
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