君だけの星へ
「つ、つまりその科学のプリントも桐生さまに見ていただきたいんですほんとごめんなさい……!」

「……はぁ……」



わたしの言葉を聞いて、心底呆れたようにため息をつく桐生さん。

うぅ、とそのため息に身体を縮こませながらも、さらに続ける。



「も、もちろんタダでとは言いません! わたしのポケットマネーからアイスをおごらせていただきます……!」



さっき桐生さん、アイス食べたいって言ってたもんね!

いや、ていうか人に勉強教えながら「アイス食いてぇ」はないと思うけど。


じっとこちらを見下ろす桐生さんの瞳を、負けじとそらすことなく見上げる。

すると不意に、彼がふっとまた嘆息した。



「……仕方ねぇな」

「……!」



そのひとことに、目を輝かせたのもつかの間。



「ただし前払いだ。もちろん献上品はハーゲンダッツで、味は抹茶。それ以外は受け付けねぇ」



続けられた悪魔の命令のため、わたしは決して中身が重いとは言えない財布を片手に、泣く泣く自分の部屋を出たのだった。
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