君だけの星へ
本中のひとつの章を読み終え、ふと顔を上げる。

壁に掛けられた時計を確認すると、午後4時半過ぎ。おじいちゃんが出掛けてから、約30分ほどが経っていた。



「んーっ」



ずっと同じ体制でいたせいでこってしまった身体を、ぐっと伸びをして軽くほぐす。

そのときふと、おじいちゃんに頼まれた代物である、カウンター上の紙袋が目についた。



『ちょっと変わったお客様でね、毎回同じ本を置いていくんだよ。よっぽど、その本を大事にしているんだろうねえ』



なんとなく、頭の中に先ほどのおじいちゃんのせりふが思い出されて。

何気なく、それを手に取る。



「えっと……『ディア マイ スターゲイザー』?」



英語が苦手なわたしは、表紙に書かれた『Dear my Stargazer』の文字をたどたどしく読み上げた。

茶色いハードカバーに、金色の文字。作者は外国人の名前だ。

タイトルを確認し、今度はパラパラと中をめくる。
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