君だけの星へ
「ま、家庭教師に来てもらってる甲斐あって、ちゃんと身についてるってことじゃん。よかったね」

「……まあね」



なんだかうまくまるめこまれたような気がしながらもそう呟いて、またずずっとストローを吸う。

──確かに、桐生さんと出会う以前と比べると、授業の理解度や臨む姿勢はかなり変わった。

あんなに苦手だと思っていた数学だけど、いつのまにか『ひとつの答えを導き出す』という過程が楽しくなりつつある。

やっぱりその心境の変化は、スパルタながらもいつも根気よく教えてくれる、桐生さんのおかげなんだよなぁ、とか……。



「この調子なら、次のテストはかなり期待できるんじゃない?」

「さあ、どうだろうね」

「じゃあもし数学でいい点とったら、あたしにサーティワンのパフェおごって」

「なんでそうなんの?!」



……そんなこと、きっと当分本人には言えそうにないけど。
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