君だけの星へ
考えなくちゃ、集中しなくちゃと思うのに、思考はまったく別のところにいっていて。



『世莉が家庭教師から卒業できるのも、そう遠くはないわね』



さっきのお母さんの言葉が、頭から離れない。

なんでわたし、こんなに動揺してるの?

そんなこと、当たり前なのに。この関係が一時的なものだってことは、理解しているはずなのに。

わたしたちは、すぐにまた“他人”に戻る。

ずっとこのままなんて、無理なんだよ。

ずっと、このまま、なんて──。



「……!」



そこまで考えて、ハッとした。


……わたし、離れたくないの?

桐生さんと離れてしまうのが、嫌なの?



「……望月? 手、動いてねぇぞ」



どうして? だって桐生さんは、いつも意地悪で。

人のこと馬鹿呼ばわりするし、デコピンしてくるし。わたしの苦手なタイプの人だったはずなのに。
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