君だけの星へ
『おまえ、前よりちゃんと理解できるようになってるから。心配すんな』

『時間かかっても、理解できるまで何回だって教えてやるから』

『おまえは一応、女だし』



……だけど、知ってしまった。

ぶっきらぼうな口調でそれを隠しても、本当はやさしいところもあること。

思わず熱くなってしまうくらい、星が大好きなこと。

わたしは、知ってしまったんだ。



『俺昔から、宇宙とか天体に関することになると熱くなって……』

『──そういうの、いいと思います』



そして知ってしまったらもう、駄目だった。

その仕草に、表情に、どんどん惹かれた。

今までに見せてくれた彼の一部だけじゃなく、全部を知りたいと思うようになった。

寝ぼけていただけとわかっていても、きつく抱きしめられて心臓が壊れそうになった。


……ああ、そっか。

そっか、わたし──……。



「……わかんない」



ぽつり、小さく呟く。

わたしの斜め後ろで、「は?」と桐生さんが声をもらした。



「できない、わかんない、わかんないよ……っ」



まるで子どもが駄々をこねるように、わたしは首を横に振ってそう繰り返した。

わけがわからない、というような様子で横に来た彼が、机に片手をついて顔を覗きこんでくる。
< 65 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop