君だけの星へ
……あ、危ない……今からこんな調子で、部屋に着いてから今まで通りの態度でやっていけるかな……。

階段をのぼりきったところで、これからのことを考えたわたしは思わずため息を吐いた。

そして、部屋に向かって歩き出そうとしたところで──。



「ちょっと待て」



背後からのそんな言葉とともに、ぱし、と手首を掴まれる。

わたしは思わずビクッと肩をはねさせ、その場に硬直した。



「あのさ、さっきから、気になってたんだけど」



ドクン、ドクンと、身体の内側で鼓動が大きく響く。

後ろから聞こえる桐生さんの声に、全神経が集中する。



「おまえ、もしかして──……」



彼の声に誘われるように、わたしはゆっくり後ろを振り向いた。

視線が交わった瞬間、もう、目をそらすことができなくなって。

わたしの手首を掴む桐生さんの手に、さっきまでより少しだけ力がこもった。

そして、彼の唇が動く。



「……熱あるだろ?」

「…………へ?」
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