君だけの星へ
「えっと、桐生さんはあんことクリームどっちがいいですか?」

「俺、普通にあんこ」

「わたしはクリーム食べよー」



ハイ、と中身があんこのたい焼きを彼に渡して、自分の分もひとつ取り出す。

たい焼きを片手に、なぜかじっとその様子を見ていた桐生さんが口を開いた。



「……これ、おまえが買ってきたのか?」

「いえ、お母さんですよ。ここのお店気に入ってるらしくて、よく買ってくるんです」

「ふーん」



鼻を鳴らして、桐生さんはパクリとたい焼きの頭にかぶりついた。

その問いかけを不思議に思いながら、わたしはしっぽを一口食べる。

……もしかして、またアイスのときと同じく『ガキからたかるかよバーカ』ってやつだろうか。

桐生さん、プライド高そうだもんね。



「ふふふ」

「おまえ、たい焼き食いながらなに笑ってんだよ。つーか、なんでしっぽから?」



頭の中で考えていたことに、ついついもれてしまった笑み。

それに呆れた表情でつっこんでから、桐生さんはしっぽの欠けたわたしのたい焼きを指さして訊ねた。

対するわたしは、首をかしげる。
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