君だけの星へ
それぞれがたい焼きを食べ終わってから、わたしたちは数学の勉強を始めた。
テストが近いということもあって、教える側の桐生さんはいつも以上に力が入っている。
「いいか望月、やるならパーフェクト、トップを目指せ。他の奴らなんか後ろ足で蹴落としてやる勢いで」
「なんて物騒な……!」
……まあ、ただガラが悪いだけとも言えるけど。
でもいくら最近わかるようになってきたといっても、前回のテストで38点だったこのわたしが、数学でトップなんてとれるんだろうか。
「つーか、むしろ1番以外俺が認めねぇからな。もし赤点なんかとった場合命はないと思え」
「………」
きっぱり話す桐生さんに対し、わたしはあさっての方向を見て見事に押し黙った。
……いちばん。
1番、かあ……。
「……そんなの、なれなくてもいい」
「あぁん?!」
「ヒッ!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
わたしの呟きを聞き逃さず低い声を出した彼に、ひたすら平謝りする。
桐生さんはしばらく無言で視線の圧力をかけてから、ふっと息をついて表情を崩した。
「まあとりあえず、最終的には自分の力を信じろ、としか俺からは言えねぇけどな」
「………」
──ねぇ、桐生さん。わたしは勉強で1番なんて、なれなくてもいいんですよ。
「当日までに風邪は完璧に治して、万全な体制で迎えるように」
「……はい」
教えてください、桐生さん。
どうしたら、わたしはあなたの“1番”になれますか。
テストが近いということもあって、教える側の桐生さんはいつも以上に力が入っている。
「いいか望月、やるならパーフェクト、トップを目指せ。他の奴らなんか後ろ足で蹴落としてやる勢いで」
「なんて物騒な……!」
……まあ、ただガラが悪いだけとも言えるけど。
でもいくら最近わかるようになってきたといっても、前回のテストで38点だったこのわたしが、数学でトップなんてとれるんだろうか。
「つーか、むしろ1番以外俺が認めねぇからな。もし赤点なんかとった場合命はないと思え」
「………」
きっぱり話す桐生さんに対し、わたしはあさっての方向を見て見事に押し黙った。
……いちばん。
1番、かあ……。
「……そんなの、なれなくてもいい」
「あぁん?!」
「ヒッ!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
わたしの呟きを聞き逃さず低い声を出した彼に、ひたすら平謝りする。
桐生さんはしばらく無言で視線の圧力をかけてから、ふっと息をついて表情を崩した。
「まあとりあえず、最終的には自分の力を信じろ、としか俺からは言えねぇけどな」
「………」
──ねぇ、桐生さん。わたしは勉強で1番なんて、なれなくてもいいんですよ。
「当日までに風邪は完璧に治して、万全な体制で迎えるように」
「……はい」
教えてください、桐生さん。
どうしたら、わたしはあなたの“1番”になれますか。