君だけの星へ
Star.4
少しの勇気、そして
『行動は必ずしも幸福をもたらさないかもしれないが、行動のないところに、幸福は生まれない。』
ディズレーリ
◇ ◇ ◇
「ふーん……じゃあすきになっちゃったんだ、その桐生さんのこと」
「……うん」
机に頬杖をつきながら言った有紗に、わたしはこくりとうなずいた。
現在は放課後で、この教室内には、わたしたちから少し離れたところにクラスメイトが3人でしゃべっているだけ。
向こうは向こうで盛り上がっているらしく、こちらの話に耳をかたむけている人はいない。
そうやってまわりを気にしながら、わたしは思わずため息を吐いた。
……本当は、話す予定なんてなかったのに。
有紗に「最近例のカテキョとはどうなの?」と訊かれつい真っ赤になってしまったわたしが、彼女から言い逃れできるはずなくて。
結局、今まで彼に関してあったことも含め、洗いざらいしゃべらされているのだ。
「ていうかさ、桐生さんって話を聞くかぎり顔はなかなかかっこいいみたいだけど、彼女とかいないの?」
「……わかんない」
「えー?」
そう、そこはわたしも気になっているところだった。
だけど今さら、そんなこと本人に面と向かって訊けないし……もし訊けたとしても、いつもみたいにからかわれて終わるような気がする。
でも、たとえば彼に恋人がいたとして……そう簡単に、消えてくれるような気持ちじゃないとも思う。