君だけの星へ
──そして、1週間後。

わたしは自分の部屋で床に正座をし、目の前では桐生さんが、いつもわたしが使っている椅子に足を組んで腰かけていた。

彼の手には、1枚のプリント。



「あ~あ、残念だったなぁ」

「う……」



わざとらしい彼のせりふに、ぐっと言葉が詰まる。

桐生さんが手にしているのは、今日返却されたばかりの数学の答案用紙で。

書かれている点数は、……85点。

ああ、やっぱり人生は甘くない。



「まあ、約束だしなぁ。仕方ないよなぁ」

「………」



ヒラヒラと答案用紙をはためかせて言う桐生さんに、わたしはうつむいて何も言葉を返すことができない。


……これで、約束はナシかぁ……。


そう考えてひざに置いた両手をぎゅっと握りしめたとき、また彼は、口を開いた。
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