君だけの星へ
「す、すごかったです……!」



プラネタリウムから外に出たわたしは、興奮覚め止まない様子でそう口にした。

となりを歩く桐生さんはそれを聞いて、「そりゃよかったな」と満足げに笑う。



「機械なのに、あんな綺麗な星空を再現できるんですね! わたし始まったとたんすごい驚いちゃって……!」

「ああ、確かに口が開きっぱなしだったな」

「そ、そんなとこは見なくて結構ですっ」



自分の間抜けな表情を見られていたことが恥ずかしくて、ぷいっとそっぽを向きながら唇をとがらせた。

桐生さんはまったく気にする様子もなく、すたすたと駅前に向かって歩き続けている。

それでもこりずに、わたしはまた口を開いた。
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