君だけの星へ
「……桐生さん、」
「………」
「あのね、確かにずっとひとりの人を想い続けるのは、ロマンチックで素敵なことで、だからこそ、憧れるけど」
頭の中の考えを、たどたどしくゆっくりと言葉にしていく。
桐生さんは黙って、わたしの話をうながした。
「だけど……会えない人を想うのがつらくて、苦しいなら。そのせいで、自分がしあわせだと思えないなら……他の誰かを見つけるのも、いいと思います」
「………」
「それって、逃げとか裏切りじゃないと思うから。人がしあわせになりたいって願うのは、当たり前のことだと思うから」
結局、自分以外の人の気持ちをずっと同じところに留めておきたいと思うことは、利己的で無謀で不毛なことなのかもしれない。
……だけど、どうしたって、変わらないものもあるから。
変わらないものもあると、信じたいから。
だから昔の人も、織姫と彦星の伝説を生み出したのかもしれない。
「………」
「あのね、確かにずっとひとりの人を想い続けるのは、ロマンチックで素敵なことで、だからこそ、憧れるけど」
頭の中の考えを、たどたどしくゆっくりと言葉にしていく。
桐生さんは黙って、わたしの話をうながした。
「だけど……会えない人を想うのがつらくて、苦しいなら。そのせいで、自分がしあわせだと思えないなら……他の誰かを見つけるのも、いいと思います」
「………」
「それって、逃げとか裏切りじゃないと思うから。人がしあわせになりたいって願うのは、当たり前のことだと思うから」
結局、自分以外の人の気持ちをずっと同じところに留めておきたいと思うことは、利己的で無謀で不毛なことなのかもしれない。
……だけど、どうしたって、変わらないものもあるから。
変わらないものもあると、信じたいから。
だから昔の人も、織姫と彦星の伝説を生み出したのかもしれない。