君だけの星へ
──プラネタリウムの後、今度はわたしのわがままで、駅前のカフェに来ていた。

やっぱりここのお代も、桐生さんがおごってくれるつもりらしく……わたしは口先では遠慮しつつ、ちゃっかり紅茶とケーキをふたつ注文したのだ。

甘いものが苦手というわけではないが、かといって好きとも言えない彼にとっては、ケーキを同時にふたつ食べるわたしの行動はありえないらしい。



「ケーキはさ、1度にひとつで十分だろ。そんな何個も食ったら、甘ったるくて胸焼けする」

「えー? だけどわたし、ケーキバイキングに行ったらこの倍以上食べますよ。サイズはもっと小さかったりするけど」

「げ……」



わたしの言葉に桐生さんは殊更苦い顔をして、自分のコーヒーを一口すすった。

うーん、わたしにとってはそのブラックコーヒーの方が『げっ』て感じなんだけどなぁ。



「桐生さんこそ、ブラックコーヒー苦くないんですか?」

「別に。なにおまえ、ブラックで飲めねーの?」

「……カフェオレとかなら……」

「ハッ。ガキだな」

「なっ、か、関係な……っ、」


「──智?」
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