君だけの星へ
「はじめまして、挨拶遅れてごめんね。俺は智の知り合いの、早瀬 京一です」

「あ、はじめまして。わたしは、えと、桐生さんに家庭教師してもらってる……望月 世莉です」



名前を教えてくれた早瀬さんに対して、わたしも自己紹介した。

すると彼は、少しだけ目をまるくする。



「え、君が世莉ちゃん?」

「? は、はい」



早瀬さんの意外な反応に、思わず首をかしげた。

だけども彼はそれ以上何も言わず、「ああ、そっかそっか」と笑いながら自己完結したようだ。

それから早瀬さんは、再び桐生さんへと視線を向ける。



「なー智、せっかくだから俺もまぜてよ」

「は? おまえ誰か他の奴と来たんじゃないのか?」

「いんや、ただコーヒー飲みに来ただけだし」



言いながら彼は桐生さんの返事も待たずに、四角いテーブルを挟んだわたしの向かい側……つまり桐生さんのとなりへ腰をおろした。

嫌そうにしながらも少しだけ身体をずらしてあげているあたり、桐生さんは本気で拒否しているわけではないらしい。

そんな彼の横でにこにこと笑みを浮かべて、早瀬さんがまた口を開く。
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