君だけの星へ
「つーか、これは一体どんな集まり?」



まさかここで勉強教えてるわけじゃないよな? とどこか楽しげな様子で訊ねる早瀬さんに対し、桐生さんは軽くため息をついてからこたえる。



「まあ、ちょっとしたご褒美みたいなもんで」

「へー、やっさし~」



茶化すような早瀬さんの言葉に、うぜぇ、と桐生さんは顔を歪めて呟いた。

そのやりとりが端から見ても親しげで、わたしは思わずくすくすと笑ってしまう。



「おいコラ。なに笑ってんだ望月」

「ヒッ! すみませんでした!!」



冷たい眼差しの桐生さんと、即座に謝罪するわたし。

このいつもの応酬を目の当たりにし、早瀬さんは「あ~あ」と半笑いで桐生さんを横目に見る。



「だめじゃん智、かわいい教え子にはもっとやさしくしてあげないと」

「おまえには言われたくない。大学時代、バイトでしてた塾の講師で教え子喰ってたくせに」

「く……っ?!」



聞き捨てならない言葉に、わたしはつい反応してしまった。

だけど目の前の早瀬さんの態度は、実にあっけらかんとしたものだ。



「やだなぁ智、そんな昔の話出さないでよ」

「昔っつってもつい2、3年前だろが。このケダモノめ」

「ひっでー。実際男はみんなケダモノだろ。ねぇ、世莉ちゃん?」

「や、わたしに訊かれましても……」
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