僕と再婚して下さい。
ベッドの脇にあるパイプイスに座り。

あたしの手を握りしめた。


『舞、流産したのはオレのせいだよ』

『どうしてそうなるの?』

『妊娠が分かった翌日に病院に行けば良かったんだ。なのに、オレが休みの日に一緒に行こうなんて言ったから……』

『洋介のせいじゃないから』

『でも1日診察が早かったら、赤ちゃんを救えたかもしれないのに』


洋介はヒドく悲しい顔をしていた。

今まで見たことないくらいの、辛くて歪んだ表情。

あれは今でも脳裏に焼き付いている。


流産したあの日は──。

人生で一番悲しかった日。

そして、洋介にとっても一番悲しかった日だったと思う。
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