僕と再婚して下さい。
こっちは、心臓バクバクだというのに。

今更、車から降りるわけにもいかないし。


「舞ちゃん、どこか行きたい所とかある?」

「えーっと。渋谷とか?」


適当に答えてしまった。


"ホテルに一泊"

このフレーズが頭から離れず、会話どころじゃない。

でも川崎さんは──。

あたしの心境なんて分かるはずもなく……。

いつもと変わらない調子で次から次と話をしていた。

あたしはいっぱいいっぱいで、受け答えしていた。



それから何度か休憩を挟み、高速道路を降りた。




東京はいつ来ても、ビルが高くて建物が密集していて、人も多くて。

田舎もんのあたしは圧倒される。

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