僕と再婚して下さい。



そして、慎吾とは何も話さないまま練習を見ていた。

試合開始が近くなり、係員の人が自分の席に戻るように指示を出し始める。


あたしと慎吾も席に戻る。

こんな状況で野球観戦なんて楽しめないよ。


各チームのスターティングメンバーが発表された。

応援団の人達がラッパや太鼓を叩いて賑やかに応援を始めている。


「慎吾、お腹空いてない? あたしお弁当買ってくるよ」


たまらずそう口にしていた。

とりあえず空気を変えたい。

一度、ここから離れよう。


「いい。オレが買ってくるよ」

「でも……」

「いいから」


慎吾は席から立ち上がり、売店の方へ行ってしまった。







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