僕と再婚して下さい。





あたしと慎吾は、売店から戻ってきてから、一度も席を立つことなく試合を観ていた。

両チームともヒットは打つものの最後の一本が出ず、点数は入らぬまま。

そして、たった今、九回表の攻撃が終わり裏の攻撃に入るところ。


「もしかして、サヨナラホームラン見れるかもしれないな」

慎吾が声を弾ませる。

「だといいね。生で見てみたいね!」

そう言ってすぐだった。

あたしは急にお腹が痛み出した。

お腹を触っていると、

「舞、どうした?」

慎吾が聞いてくる。

「……トイレ行ってくる!」

それだけ言い残して、あたしはトイレに向かった。
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