僕と再婚して下さい。
言える雰囲気ではない。

このピンチをどうやって乗り切ろう?

慎吾と体の関係になるなんて、想像つかない。


「体で詫びてよ。澤村さんには黙っておいてやるから」

「そんな……」


泣きそうになるのをこらえる。

慎吾に掴まれた腕を離そうとしたけど、更に強く掴んでくる。

そして、片方の腕であたしの腰を引き寄せた。

慎吾のキレイな顔が近づいてくる。

このままでは、キスされてしまう。

抵抗のつもりで顔を背けた、その時──。


「ぷっ」


慎吾が吹き出した。


「えっ?」

「ははは……。面白れなー」


やがて、引き寄せられていた腰も掴まれていた腕も離され、あたしの体は自由になった。
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