僕と再婚して下さい。
電話の向こうで舞が泣いている。

嗚咽がかすかに漏れているのを感じた。


「ごめんなさい。洋介とはやり直せない……」

「あいつとつき合うのか?」

「……」


舞は何も答えない。

ただ泣いているのが分かる。


「復縁が無理な理由は何?」

「……同じこと繰り返すと思うから」

「あいつにそう吹き込まれたんだろ?あいつの言うことは気にするなよ」

「違う。自分で決めたの」

「とにかく一度会って話そう、な?」


オレは電話で話しながら立ち上がっていた。

舞に会いに行こう。

電話一本で終われるほど簡単ことじゃないと思うから。



< 316 / 394 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop