夜を望む




 動揺してしまった私は、話が済んだなら帰るけど、と口に出した。
 この場に、居づらかった。会いたかった、だなんていわれて、どうしたらいいと言うのか。


 人は私を、初心だと言うかも知れない。言われ慣れていないのだ。自分へいろんな言い訳を浮かべる。

 鞄を肩へかけ、缶を手にとって勢いよく数歩。
 土曜だから平日とは違ってにぎやかさは少ない。聞こえるのはあけた窓からの車の音と、鳥の声くらい。
 のどかな午前中だった。太陽の出ている時間目である。


 宮元の顔はちゃんと見える。けれど私は今、恥ずかしくなって、しかも動揺しているから見ていられない。だから背を向けた。

 ああ、ほんと馬鹿らしい。




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