夜を望む




 私が夜なら、静か過ぎて物足りなく思うのではないか。




「信じてくれないか」




 私は間違っている。

 ああそうだ。会いたかったと言われて、だからどうしたというのだ。ただ、会いたかっただけ。それ以上以下でもないはず。

 それ以上のことを考えてしまった自分は、勘違い女でしかないはずだと言い聞かせていたのに。




 振り返られなかった。

 太陽は、夜を照らし尽くして、暴いてしまう。




「俺は、吉村秀が好きだ」




 冗談言うなといった声が震えてて、ごまかすための笑いもまたぎこちなく。



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