夜を望む




「そうだけど」

「でも誰も、そんな国あったよだなんて語っていないじゃないか。死んだら死にっぱなしで」

「まあ、そうなんだけどさ」




 朝っぱらからメールが入っていた。それは土曜にも授業が入っているのを知っている上で、そのあとに最上階にある大講義室に来てくれというものだった。

 呼んだからには何か真面目な話か、と私は思った。しかし呼んだ本人はというと呑気に「やあ」 だなんて片手をあげたのである。
 いまどきの遊んでばかりの学生だったら似合わなくて鳥肌が立つようなことでも、彼なら違和感がなかった。
 宮元だからこそなせる業であるのだと思う。




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