夜を望む




 私が取っている講義が終わってからだったので、帰ってくるころには夜となってしまったことを思い出す。
 あれは、そう「星がきれいだって」




「秀が言ってたよな」

「言ったね。星はやっぱり田舎とか、山の中とか綺麗なんだよね」

「あれからまた、夜に星を見に行ったんだ。まあ、場所はこの辺りで人の少ない場所だったけれと」




 わざわざ、そんなことを?

 生粋の都会人である宮元が、そんなありきたりな、星に興味を持って、見に行くだなんて思ってもみなかった。しかも私の何気ない言葉でというのがまた、なんだかおかしい。


 ここでもどちらかと言えば、私の実家に比べたら都会だが、やはりそんな都会で見る星と、田舎で見る星は、美しさが違うのだと私は思う。




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