螢狩

涙光

父さんは言った

「お前の母さんは、涼谷を産み死ぬ直前にこう言った」

俺は息を飲む。

父さんは、いつの間にか穏やかな表情をしていた。

「『私が死んだら涼谷をよろしく』そう言いながら、母さんは優しく微笑んでいたよ」

母さん

「涼谷、お前は望まれた尊い命なんだ。憎いわけがないだろう」

父さん

「ただ、…少しさみしいだけだ」

そう言いながら部屋を去る父さんの目には、光るものがあった。

父さん…。
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