運命


「立ち読み・・・?立ち読みだけであんなに強くなれるのか?」

涼は、すこしびっくりしている。

「うん・・・」




私は、中学1年生の時暇さえあれば本屋でいろんな本を立ち読みしていた。

その時、ふと麻雀の本が目に留まった。


「あ、兄貴達がやっていた遊びだ・・・」


兄貴達と一緒に麻雀で遊びたい!


その時はそれだけの理由で麻雀を覚えようとした。

立ち読み勉強し始めてから1ヶ月ぐらいたった。


いつものように立ち読みをしていたら


「麻雀覚えたいのか?」

ふと、ある男性が話しかけてきた。

歳は20歳前半ぐらい。

身長は180cmあたりで髪型は無造作ヘアだった。

すごくラフな格好をしていた。

顔はすごく整っていて、一瞬かっこいいと思ってしまった。


「いいえ・・・ただ読んでいただけです。」


「そうなのか?じゃあ、その本俺にかして・・・?」


私は今頃になって自分が嘘をついたことに恥ずかしくなった。

「はい、どうぞ」



私は本屋を出て公園のベンチに座っていた。



かっこいい人だった・・・



なんて、自分らしくないけど・・・

どうしたんだろう?私。

鼓動が早くなっていくのを感じる。



それから、本屋で時々会うようになった。


会っても、私はいつも通り過ぎた。

ただ一回喋り掛けられただけなのに意識している私が馬鹿らしかったから・・・



< 5 / 8 >

この作品をシェア

pagetop