上司と上手につきあう方法【完結】
上司の知らない顔

鬼上司


――――……




「平尾」




低い声で名前を呼ばれると、心臓がドキッとする。



「は、はいっ……」



私はそそくさと席を立ち、お誕生日席の部長の元へと駆け寄った。

まるで王様に用事を言いつけられた家来のようだ。が、そんなことを考えている余裕はない。



「やり直し」



鬼部長の手によって、デスクの上に放り出される私の企画書。


簡単に言ってくれるけど、やり直しって……どれだけ時間かかったと思ってるのよ!



「――」



無言でデスクの上の企画書をにらみつけていると、

「何か問題でも?」

と、鬼部長が怜悧な眼差しを私へぶつけた。



彼のメタルフレームの眼鏡の奥の瞳はとても怜悧で、一切の反抗を許さない、そんな確固たる意志を感じる。


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