上司と上手につきあう方法【完結】

目眩がする。



ああ言えばこう言う。

絶対に折れたりしない、朝陽。


いつも人を煙に巻いて、するり、するり、と逃げてしまう。

だからこそ私の執着は増したのかもしれない。


付き合っていてもどこかわからない、つかめない男だったから――

彼を繋ぎとめようと必死だった。

ただひたすら、失うことが怖かった。怯えていたんだ。



ああもう、朝陽ったらどうしてまったく変わってないんだろう!



泣きたい気分になりながら、彼の腕を振りほどく。



「そうよ、気になったわよ、当然でしょ? で、どうなの? 私の友達みんなきれいだけど、朝陽のタイプはいた!?」

「どうかな。確かにみんな可愛くてきれいだったけど。彼女欲しくてきたわけじゃないしね。ただの人数合わせ」



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