上司と上手につきあう方法【完結】
複雑な恋心
オフィスを離れた非日常
作っていたパワーポイントの資料を閉じ、webで検索して見つけた「オフィスで出来る腰痛緩和のストレッチ」画面を開く。
図解イラストを見ながらウエストをひねっていると、
「あいたたた……」
思わず情けない悲鳴が口から漏れた。
「――最近そればっかりだけど……週末、温泉でも行く?」
そんな私を見て、紗江子が苦笑する。
ああ、温泉……。なんて素敵な響きなんだろう。
彼女の言うとおり、最近体がなまっているというか、デスクワークのせいか、体が重くて仕方なかった。
「いいねえ、温泉……行きたい」
男なんかいらない。癒されたい……。
半ば本気でうなずきながら、私は10メートルは離れている、フロアの奥に視線を向ける。