上司と上手につきあう方法【完結】
「なんで?」
「なんでって……もうずっと前に終わってるじゃない、私たち」
そのままジリジリと後ずさった私は、勇気を振り絞って朝陽を見上げた。
男らしい大きな体に、少し可愛らしい雰囲気を持った容貌。
甘さと精悍さが同居した、整った顔立ちをしている。
付き合っていたころに数回、彼のご両親にお会いしたことがあるけれど、朝陽は両親のいいとこどりという感じだった。
「そんな怯えた顔、しないでよ」
朝陽は少し困ったように微笑み、デニムのポケットから携帯を取りだし何かを操作し始めた。
それから数秒後。バッグの中の携帯が震えて。
「あ……」
驚いて取りだすと、見知らぬ番号からの着信だった。