上司と上手につきあう方法【完結】

「あの、キャンディどうですか?」



私はバッグの中から、三角の苺ミルクキャンディを部長に差し出す。

もしかしたらいらないと言われるかと思ったけど、部長は素直にそれを受け取って口の中に入れ、低い声でうめく。



「甘い……」

「そりゃ苺ミルクですもん」



眉間のしわが深くなる部長を見ながら、私は携帯を取りだし、ブラウザを立ち上げた。


まさかお酒だけじゃなくて乗り物にも弱いなんて、見た目とのギャップありすぎでしょうよ!



「部長、乗り物酔いに効くツボっていうのがありますよっ」

「ん……」

「手、貸してください!」



返事を聞かないまま部長の左手を膝に乗せ、スマホの画面を見ながら、ツボを押す。

手首の付け根から指1.5本分下にある手首中央の凹んだところ。そこは『内関』と呼ばれて、乗り物酔いに効くらしい。



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