上司と上手につきあう方法【完結】
「――ふぅ……」
緩く、息を吐く部長。
辛いんだろうな……。
見ればその端整なお顔は真っ青だった。
これだけバスに弱いのに、どうして社員旅行に参加しようと思ったんだろう……。
彼の手首のツボを押しながら、それからしばらく、私はぼんやりと窓の外を眺めていた。
――――……
次に部長が目を覚ましたのは、二度目の休憩のパーキングエリアだった。
「部長、パーキングエリアにつきましたよ」
バスが停まってガヤガヤしているうちに、そっと問いかけると、彼はうっすらと目を開けてぼーっと潤んだ瞳で私を見つめてくる。
「俺も降りる……」
「ですね。外の空気吸ったほうがいいです」